2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

いま、まさに、この場所で

役者をやっている友人がいる。 彼女が所属する劇団が、低予算で実験的な公演をするということになり、 私の知り合いの映像研究をしている男性に、ビデオ撮影のオファーがかかった。 彼女と彼は、 私がいなくたってそのうち知り合っていたかもしれないけれど…

お酒

「この世からなくなってしまったら困るものって何?」 先日、人からこんなことを聞かれた。 随分おかしなことを聞くなと思ったけれど、 私は間髪入れずに、「お酒」と答えた。 その人は一瞬、驚いたような反応をした。 まさか24歳の女からそんな返事がくる…

「鳥よりも高く飛べ」

荒木経惟の写真集で『空事』という作品がある。 どういうふうに読むのだろう。 買った時から、思っていたことだった。 その写真集を見つけたのは、確かセンター試験の直前の頃だった。 19歳の冬、渋谷のツタヤで偶然、見つけた。 出版されてから1年も経っ…

前髪を切る

クリスマスを目前にして、 天皇誕生日の祭日の前日の今日、前髪を切りに行った。 それも、仕事中に。 なぜなら、どこのお店も忙しくてとてもアポイントなんてとれないからだ。 「今週一週間はどこにもアポ入れない」 と言い切った人もいた。 午前中に秋葉原…

同業他社の人

新宿方面にあるそのお店は、 トラットリアでもなければリストランテでもなく、 カジュアルなレストランなのかと言えば少し違う気もするが、 強いて言うならカジュアルなお店なのだと思う。 安くもなければ高くもない、中程度の、きちんとしたワインを揃えて…

クレーム

商品に関してちょっと大きなクレームがあった。 私が担当している問屋さんから報告を受けた。 とあるレストランでクレームが発生した、と。 私は一度も行ったことがないお店だったが、 自分が担当している問屋さんの先でクレームが起きたということで、 私が…

忘年会の帰り道

忘年会の帰り道、ふと空を見上げたら、満天の星空が広がっていた。 空気が澄んで、普段なかなか見えない星まできれいに見えた。 祖父がまだ生きていた頃のことをふと思い出した。 私が今住んでいる家は、 当時祖父母が住んでいた団地から徒歩5分くらいの場…

10個で200円

4時過ぎ頃、浅草寺の仲見世を歩いていたら、 人形焼きのタイムセールをやっていた。 焼きたての人形焼きが10個で200円になっていた。 普段人形焼きはそんなに好きではないのに、 なぜか無性に食べたくなってしまって、10個買った。 私の手の平に収ま…

死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。 お年玉としてである。着物の布地は麻であった。 鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。 夏まで生きていようと思った。 (太宰治『葉』) 仕事を辞めてしま…

ばら

朝起きて、久しぶりにバラを眺めた。 何か様子がおかしいなと思ってよくよく眺めていたら、 至る所に虫がついていた。 あぁだから葉っぱがこんなに貧そうになって、 全体的に元気がなくなっていたんだな、と思った。 枝の枯れてしまった部分や、 虫のくっつ…

パブリックシアターと、サイモン・マクバーニー

世田谷パブリックシアターに「春琴」を観に行った。 サイモン・マクバーニーという演出家が、 谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』に描かれる美の世界をモチーフにしながら 『春琴抄』をオリジナル化した舞台で、 それはもう美しかった。 日本古来の、マイナスの美が舞…

中学の同級生

渋谷で、中学の同級生を見かけた。 彼女は高校を途中でやめてしまったから、 かれこれ7年くらい会っていないことになる。 ちょっとシュールで、頭が良くて、 どことなく色っぽくて、 私はなんとなく彼女が好きだった。 決して主張の強いタイプではなく、 多…

やさしい味

心に染み入るような美味しい物を食べたとき、 美味しいからどんどん食べたいと思う反面、 なくなってしまうと寂しくなるからゆっくり食べようと思ったりもして、 複雑な気持ちになる。 でもその瞬間、私はとても幸福で、満たされている。 美味しければなんで…

私の不足の致す所です

考えてみれば当たり前のことなのだけど気付いていなかった。 この仕事を始めてから、そういうミスを沢山している。 今までは 「申し訳ありませんでした!」 で済んでいたけれど、 今回はお客様が大変お怒りで、 「もう来なくていい」 と言っていると、人づて…