中学の同級生

  渋谷で、中学の同級生を見かけた。
彼女は高校を途中でやめてしまったから、
かれこれ7年くらい会っていないことになる。
ちょっとシュールで、頭が良くて、
どことなく色っぽくて、
私はなんとなく彼女が好きだった。
決して主張の強いタイプではなく、
多分彼女としてはなるべく地味に、ひっそりと静かにいたかったのだろうけど、
彼女を慕う人は多かった。


  彼女は黒いスーツに黒い鞄を持って、
いわゆる就活スタイルで歩いていた。
これからどこかの説明会にでも行く所だったのだろう。
彼女に声をかけたかったのだけど、
彼女もさかさか歩いていってしまったし、
私も急いでいた。


  それからしばらく、彼女のことを考え続けていた。
同窓会のような場にも顔を出さない人だ。
これから先、もう一生会わないかもしれない。
そう思えば思うほど、
声をかけなかったことが悔やまれた。


  最近、そういう、街中で誰かに偶然会うことが多い。
なんでこう、立て続けに起こるのだろう。
私は、
こういう出来事を何かの縁だとか、
何かの知らせなのではないかと考えるのが好きで、
きっとこれから何かが起こるのでないだろうかと、期待をしている。