私は、好かれていたのだろうか


  土曜日の今日、前に勤めていた会社の上司からメールがきた。
「どうしてるかなと思い、メールしました」と。
女性で、入社当初は私の所属のチームの主任として働いていて、
年明けとともに課長に昇進し、私の上司になった人だ。
金曜日、在職中に私が担当していたお店に行って私の話題になったのだという。
お店の人も私のことをなつかしがっていたと、メールにあった。
私は、もしかしたら好かれていたのかもしれない、とぼんやりと思った。


  今となってはもう、自分が正社員として全うな24歳を生きていたことが、
嘘みたいに感じる。
辞めた直後からすぐに、
確かにあれは一時期私の日常だったのだけど、
どこか非日常だったような、
中学生の頃のつらかった部活の合宿のようなものだったという気がしていた。
会社を辞めた後、私は、やっと自分の日常に戻った気がしていた。


  でも、辞めてもなお、こんな風に思い出してもらえるなんて、
幸せなことだと思った。
もう戻りたくはない時間、
その時間を生きていた時からなじめずにいた時間だったけど、
その時間の中で生きていた私を、思い出してくれる人がいる。
私は、もしかしたら、好かれていたのだろうか。