ばら

  朝起きて、久しぶりにバラを眺めた。
何か様子がおかしいなと思ってよくよく眺めていたら、
至る所に虫がついていた。
あぁだから葉っぱがこんなに貧そうになって、
全体的に元気がなくなっていたんだな、と思った。
枝の枯れてしまった部分や、
虫のくっついている葉っぱを切り落とした。
寒々しくなってしまったバラをじっと眺めてみたら、
至る所に新芽が芽吹き始めていた。
冬はこれからだというのに、
もう、花は春に向かっている。
私はそのことにすっかり感動してしまった。
ほったらかして水さえやらなくなっていたのに、
たくましいな、えらいな、と思った。


  自分に余裕がなくなってくると、
私はいつもつい、このバラをほったらかしてしまう。
もう5年くらい育てているが、いつもそうだった。
そして、余裕がなくなって限界に達しそうな時、
私は、
そうだバラの面倒をみなきゃ、なんて思って久しぶりにバラに時間を費やす。
水もやらずにしばらくカラカラにしていたのにも関わらず、
バラは健気に花を咲かせていたりして、
私はいつも、バラに諭されたような気分になる。
ごめんね、なんて思って、手入れして、養分を沢山与える。
そして私は少し、元気を取り戻す。
いつからか、そんなサイクルができあがっていた。