中性的な存在

昔、思い切り髪の毛を短くしたことがあった。
髪の毛を、すごく短くしてください。
男の子かと思うくらい、短くしてください。
全部終わってすっきりしたんです。
すっきり、さっぱり、思い切り短くしてください。
私がそう言うと、高田さんは、肩より長かった私の髪をどんどん切っていった。


それから二週間ほど経って、ひな祭りの頃、チサコ先生は私の髪を見て言った。
「本当に、彼はあなたのことをよくわかっているのね。
 その髪型、よく似合ってる。
 私はね、あなたのように文章を書いたり表現したりする人は、
 中性的である必要があると思うの。
 あなたの今の髪型は、
 正面から見ると少し前下がりで女性のような柔らかさがあって、
 でも横から見ると後ろの毛はとても短くて少年ぽくて、
 それがよく表現されている。あなたに、とてもよく似合っている。」