シェフとテイスティング

  先輩に同行していた頃に会った広尾のレストランのシェフが
とても素敵な方で、
ことある毎に先輩に
「私は今までお会いしたシェフの中ではあのお店のシェフが一番です。」
なんて話したりしていた。


  1人で営業に出るようになって数ヶ月経ったが、
今月からはレストランだけではなく問屋も担当するようになり、
自分が担当する問屋を使っているレストランを中心にまわるようになった。
そのような経緯の中で、運良く、前々から素敵だと騒いでいたシェフがいる
広尾のお店を先輩から引き継ぐことになった。
「えーこんなにいいことがあっていいのかな!」
なんて思っていたのだけど、それは本当の話で、
私は今、そのお店を担当している。
先輩と一緒に引き継ぎ挨拶に行った後、1人で行き、
そして、今日もまた行った。
シェフに冷凍チーズを提案していたからで、先日サンプルを送り、
今日は感想を聴きにいった。


  商談の後、
ちょうどワイン担当の日本人男性とイタリア人男性がワインのテイスティングをしていて、
シェフに
「なかなかない機会だから。」
と声をかけていただき、私もそのテイスティングに参加させていただいた。
「えーこんなにいいことがあっていいのかな!」
なんてまた思いながら、目の前に6種類のワインを並べてシェフらとワインを飲んだ。
前々から素敵だと思っていたシェフとワインを飲んじゃうなんて!と
興奮せずにはいられなかった。


  ワインを一気に何種類も飲んだせいで軽く酔っぱらってしまったせいか、
にやにやしながら広尾の駅まで歩いた。
こんなに興奮したのはいつ以来だろう。
ものすごく久しぶりなことは確かだ。
オダギリジョーの試写会に参加して以来かもしれない。


  思いがけず憧れていたシェフのいるお店を引き継ぎ、
思いがけずそのシェフとワインを飲んだ。
こういうのを、「たなからぼたもち」と言うのだろう。