結婚について

  


  横浜で18時にアポをとっていた。
こんなに遅い時間に
会社から電車で1時間半近くかかる場所でアポだから
さすがに直帰してもいいだろうと思い、先輩に事情を説明して直帰の許可を得た。
1人で営業に出るようになって初めての直帰だ。
木曜日だしせっかくだからと、人と会う約束をした。


  お腹がすいていたのと、お酒を呑みたかったのとで、
ついつい相手のことを気にせずぱくぱくご飯を食べ、
するするビールを呑んでしまった。


  何の話をしていた時だったかは忘れたけれど、
彼が、
「結婚願望とかないの?」
と、言った。
特にない、と私は答えた。
結婚したいという強い希望はないけど、同棲には憧れる。半同棲でもいい。
美味しいご飯と美味しい食べ物を一緒に楽しみたい。
「結婚できないで余ったらどうするの?」
と、彼はさらに聞いた。
「余らないように、する。
 余る前に、どうにかする。」
と私は言った。
何だか、うまく答えられなかった。


  私はそんな風に答えたけど、彼は、
「付き合っててもしも子供ができたら、簡単に
 じゃあ結婚しようって言えるような気がする。」
と、本気ではない様子でそう言った。
私にはそれが信じられなかった。
そんな軽いノリで結婚することや、
できちゃった結婚が信じられないというのではない。
その程度の気持ちで結婚した人と、毎日何となく暮らしていくなんて、
私には耐えられないからだ。
子供ができたから、なんていう理由で選んだ人と、
自分の人生の大半の時間を共有していくなんて、疲れてしまう。
それならば、1人でいた方がいい。


  結婚に限らず、私は人に対して、いつもそうなのだ。
友達にしろ、一緒にいたいと思う人は本当に限られている。
上っ面の付き合いをすることや、人に話を合わせることが苦手だから、
本当に気の合う人としか過ごしたくないのだ。
しかも私はえり好みが激しいから、気が合うと感じる人に滅多に出会わない。


  予備校でもほとんど1人で過ごしたし、
大学でもほとんど1人で過ごし、ろくに友達はできなかった。
会社の人のこともそんなに気が合わないし、
会社を一歩出たらあまり関わりたくないと心のどこかで思っている。
こんなだから、歳を追うごとに友達は先細りになっていく。
恋人も、一向にできる気配はない。


  こんなことを言うなんて、自分は本当に嫌な性格だと思う。
でも、本当だ。