つけまつ毛


  カナダへ行く知人を見送りに、7人で成田空港へ向かった。
その中には18歳の女子高生と19歳の女の子もいて、
彼女らのギャルメイクに圧倒された。


  私はと言えば、
9時21分のバスに乗らなければ待ち合わせに間に合わないというのに、
寝坊して9時に起きて、
着の身着のままで家を出た。
ファンデーションは塗っていたけど、後はほぼすっぴん。
最近芸能人のすっぴんの公開が流行っているようだけど、
私のすっぴんを公開したって誰も喜ばない。


  つけまつ毛に圧倒されながら、
色々な角度から彼女らに写真を撮らせてもらった。
彼女らは瞼からはみ出るくらいの長いつけまつ毛をつけて、
さらにアイシャドーやマスカラを塗りたくり、
おまけにカラーコンタクトまで入れて黒目を拡張する。
塗ってます、と大々的にアピールせんばかりの濃いチーク。
そうやってみんな、
可愛い自分を作り上げる。
自分に自信をつけているのだ。
彼女は言った。
「私だってしなくて済むのなら、吉田さんくらいの化粧でいたいですよ。」
と。
また、もう1人は
「吉田さん、化粧してるんですか。」
と。
普段はもっとちゃんと化粧してるんです、と私は小声で答えた。
「今日は寝坊しちゃって。」
と。


  私は、自分はつけないけれど、つけまつ毛に興味がある。
嫌みな言い方に聞こえるかもしれないけれど、
私にはそんなつもりは全くなく純粋な好奇心のつもりで、
どうやってギャルの顔が作られているのかを見るのが、楽しくて、飽きなかった。