寝ないで働く


  今日は先輩と引き継ぎ同行で、久しぶりにあちこちへ移動した。
広尾から西麻布、赤坂、日吉。


  私も少しずつ自分の仕事が増えてきたのだが、
先輩から頼まれる仕事も多々あって、
最近は午前中に先輩から頼まれた仕事を済ませてから営業に出て、
夜  会社に戻ってから自分の仕事をする、というリズムができてきた。


  今日は会社に戻ってから、
某ホテルでのディナー用のメニューを40部用意するように
課長から頼まれた。
メニューそのものは印刷してあるので、
それを専用の厚紙に挟んで二つ折りにして金色のゴムでとめる。
自分の席だと場所が狭いので、あいている席で作業をした。
マルコの近くで作業をしていると、
「加工食品て何?」
と、マルコに聞かれた。
「ほら、刺身とかは加工食品じゃないんでしょ。
 で、ハンバーグとかオムライスは加工食品でしょ。
 でも、加工食品て何?」
と、マルコは言った。
そういえばいつか、家庭科の授業で加工食品の定義を習ったなぁと思いながら、
正しい定義が思い出せず、
「料理してあるのは、全部加工食品ですよ。」
と、答えた。
マルコはいつも某社員のことを「将軍」と呼んでいる。
他の人は誰も彼のことを「将軍」とは呼ばないのに、
なぜかマルコだけが勝手に「将軍」と呼んでいる。
今日も
「あれ、将軍は?直帰?」
と言っていたので、
「なんで将軍て呼んでるんですか?」
とマルコに聞くと、
「わからないよ。 
 だいたい、将軍てどういう意味?」
と、逆にマルコに聞かれた。
意味もわからないのに、なぜ「将軍」と呼びたくなったのだろう。

  
  そうこうしているうちに  あっという間に時間が経ち、
自分のお客さん用のメニューの作成などをしていたら、10時になっていた。
「大丈夫か?カレー食べる?」
と、課長に聞かれ、
「カレーあるんですか?」
と聞いたら、
「いや、ない。」
と言われた。
私の顔を見たら、なんとなく「カレー食べる?」と聞きたくなっただけだと課長は言った。
私の顔がひどく疲れていたからだろう。
会社の人にはとても言えないけど、仕事で疲れたのではなくて、
昨日の深夜から今日の始発の時間まで焼肉屋で送別会に出ていて、
一睡もしないまま会社に来て、単に寝ていないだけだったのだ。