胸ポケットのお守り
前から気になって仕方がなかった課長の胸ポケットのお守りについて、
今日、意を決して聞いてみた。
「いつも、胸ポケットにお守り入れてらっしゃるんですか?」
「え?何で知ってるの?
あぁ、見えてたのか!」
「はい、透けて見えてました。
「これ、何だか知ってる?」
「いや、わからないです。」
「そうだよなぁ。知ってる分けないよなぁ。
今年、厄年なんですよ。それも、本厄。
別に、毎年ずっとここに入れてるわけじゃないよ。」
部長はおっしゃった。
「元旦にはお祓いもしてさ。」
「そうだったんですか。
商売繁盛とかかと思ってました。」
部長はちょっと髪の毛がお薄いのだが、自分でそれをネタにする節がある。
モニターに映ったご自分の頭を見て
「うわっ。俺、てかってんなー。」
と言いながら、おでこを押さえていた。
ベテランの先輩などは普通に笑っていたが、
私はどうしたらいいかわからなかったので、
他のことで忙しいフリをした。