ゆみ


  何がどう、とうまく説明する事はできないのだけど、
ゆみといると面白い。
動きの一つ一つが面白いというか、
話している様子が面白いというか、
不思議なテンションに笑いがとまらないというか、
この面白さを人に上手く伝えることができないのが大変残念なのだが、面白い。
ちょこちょこと動き回る小動物を見ているような気分になる。


  就職して以来初めて会って、会社のことなどを話した。
私には同期がいないので、
会社に入ってもう一ヶ月が経ったというのに、
新社会人の友達と話したのはゆみが初めてだった。

 
  玉川に行って、軽くごはんを食べた。
神奈川県側の岸辺ではバーベキューをしている人が沢山いた。
私たちのいた東京都側は火を使うのが禁止されているので、
割と静かで、穏やかだった。
何を話したかは特に覚えていない。
せっかく会ったのに、お互い無我夢中で買って来たケンタッキーのチキンを食べていた。


  今年27歳になる会社の先輩が
「学生時代の友達は大事にした方がいい」
と、入社して一週間くらいの私に言った。
「私は会社では少し壁を作ってるのね。
 仕事だから話すし、嫌いっていうわけじゃないけど、
 でも、少し距離を置いてるんだ。
 それができるのは学生時代の友達と今も付き合っているからだし、
 やっぱり自分の色んな面も見てくれてて気を許せる友達って
 会社に入ってからではそうそうできないから、大事だよ。」
女性の先輩で可愛らしい方なのだが、
随分と強い調子でそう語り、学生時代の友達の重要さを強調していたのを思い出した。