ボンゴレ・ロッソ

  先日マリオ氏に見せてもらったデモンストレーションを思い出しながら、
ボンゴレ・ロッソを作った。


  バブル期の名残で、私の家にはなぜか色々な調理器具が揃っている。
マリオ氏に教わった通り、
ニンジン、セロリ、タマネギはミキサーで細かくした。
トマトもこし器で漉して、種を取り除いた。


  新人さんセット、というものを以前会社からもらっていて、
家にはちょうど、パスタやエクストラバージンオリーブオイル、
ピュアオリーブオイルなど様々な食材が揃っていて、役に立った。


  社販で買ったワインの残りを飲みながら、ボンゴレ・ロッソを食べた。
母は美味しい美味しいと言って食べていたが、
自分ではあまり美味しく感じなかった。
連日、先輩が担当するイタリアンのお店でランチを食べ、舌が肥えた。
有名シェフ直伝のレシピだからまずくはなかったが、
やっぱり、いいフライパンを使ったり、
私がイタリアンの料理に馴れなくてはならないのだろうと思った。


  いつか原さんが
「ハンドドリップは、珈琲をいれる人の技術の問題ではなくて、
 いい珈琲豆を使えば誰でも美味しくいれられる。」
と言っていたけど、
料理もきっと同じなのだろうと思う。
いい食材、いい器具を揃えれば、誰でも美味しいものが作れそうな気がする。
そこから先に表れるものが作り手の個性であって、
たとえば塩加減であるとか、隠し味の内容だとか、
そういうものの中から、その人特有の味というものが生まれてくるのではないか。