珈琲をいれる時間


  朝起きて、作っておいたトマトソースをパンに塗って、
ピザトーストを食べた。
会社でマルコからもらったトマト缶と、
お客様にサンプルで配る用のオリーブオイルを使って作った、
トマトソース。
それと、お客様に配った後にあまってしまって持って帰ってきた、
冷凍のモッツァレラチーズ
イタリア食材には事欠かない。
家にあったニンニクと唐辛子を加えて、塩をまぶしただけで、
トマトソースは随分美味しく仕上がった。
その辺の下手なお店のランチのトマトソースより、よっぽど美味しいと思う。
なぜなら、素材がいいから。


  ピザトーストを焼いている間に、珈琲をいれた。
お湯をそそいで、ハンバーグのようにふっくらと膨らんだ珈琲豆。


  仕事がある日も、
心を込めて珈琲をいれた日は穏やかな心で会社に向かうことができる。
珈琲をいれなかったり、適当にいれてしまった日は、
なんだか、ピリピリとする。
何もいいことがない。


  洗濯をして、お風呂に入りながら、昨日買ってきた山田詠美の本を読んだ。
本を読んでいたら、ぽこんと、文章が生まれて、声に出してみた。
あぁこれを忘れてはいけないと思い、
慌ててお風呂から出て、タオルを巻いただけの状態でそれを書き残した。
心の中でどんどん言葉が生まれてくるのに、
それを書き留めるスピードが、生まれる速度に追いつかなくて、
文字に起こす前に忘れてしまう。
それが、悔しい。
中学生の頃から、文章を思いつくのは、いつもお風呂に入っている時だった。
お風呂に入っている時に思いついた文章は、今でも心に残っている。


  洗濯物を干して、借りてきたDVDを観た。
DVDを見終わった頃にはワイシャツが半乾きの状態になっていて、
ちょうどいいのでアイロンをかけた。
アイロンをかけてから、また、山田詠美の本を読んだ。
そうしているうちに、また、眠ってしまった。