仕事

  久しぶりに真面目に文章を書いていた。
とある募集に応募するためだ。
「私の好きな人」という課題だったのだけど、
文字数は700〜800字と限られていて、とても苦労した。
さんざん悩んで、あれこれ下書きして、何度も練り直して、
それでも満足に仕上げることができなかった。


  その間に仕事では様々なことがあった。
文章を書くということはとても集中力のいる作業で、
できれば一日中そのことだけを考えて、いつも紙に向かっていたいのだけど、
働いているとそうもいかない。
欠品した商品のこと、今月の販売戦略、お客様から頼まれたメニューなどなど、
それら諸々のことに心を割かなければならない。


  百年に一度の不況、なんて言葉が登場したのはもう一昨年のこと。
就職率は依然低いまま、最近また過去最低記録を更新したらしい。
とは言っても人手を必要としている中小企業は数多くあって、
最近では、大学生による企業のえり好みが問題になっているとか。
ニートという言葉を最近ではあまり聞かなくなったけれど、
この言葉が流行った頃も、
やはり、若者の自意識が問題になっていた。
自分にはもっと能力があってそれを生かせる場所があるはず、
自分にはもっといい環境があるはず。
そんな、根拠もない自信をもとに会社を辞めて、
結局職につかないでいる若者も多かったと言う。
私が高校生の時のことだった。
安定だとか、給料だとか、大学生はもっともそうなことを言って
大手企業ばかりを志望しているけれど、
結局は、
ブランド志向が強いのだと思う。
思い返せば私だってそうだった。
中小企業を見くびっていたものだから、
大学四年生の五月に面接に行った印刷会社でも、
「やっぱり小さい会社には非常識な社員が多い。」
なんて思って、面接で半ば喧嘩して帰ってきた。
案の定落ちた。
でも、面接の場であんな非常識なことを聞く会社なんて
こちらから願い下げだ、と、今でも思っている。


  私には目標がある。
そのために今  自分は何をすべきかということも、
最近やっと考えられるようになった。


  この間、客先に向かうために池袋の横断歩道を渡っていたら、
車にひかれそうになった。
青信号なのに!と思って車を見ると、シルバーマークがついていて、
よぼよぼした人が運転をしていた。
危なかった!と思うと同時に、
今のままじゃあ私は悔しくて死んでも死にきれない、
まだまだやり残したことが沢山あると思った。