何もしてない


  中学一年生の時にこの家に越してきた頃、
我が家の隣はだだっ広い駐車場だった。
いつの間にかだだっ広い駐車場の土地は売却され、
今年の始めにはそこに8軒もの家が建った。


  先週くらいに隣に建った家に人が引っ越してきて、
リビングの私の席の隣の窓から、
隣の家の窓の向うが見えるようになってしまった。
窓と窓が向かい合うなんて、なんだか落ち着かない。
その窓の脇をしょっちゅう黒猫が歩いていて、
私の位置からは窓の向うの猫の後ろ姿がよく見える。


  近所のスーパーでお酒を買ったら年齢確認をされた。
いつも行くスーパー、よく見かけるレジの店員さんだったのに、
なぜ今更年齢確認などされたのだろう。
今日の私はそんなに幼く見えたか。
  

  昨日、父に電話した。
終戦という言葉を聞くたびに父を思い出す。
戦後65年なんて言われると、「あぁ今年で65歳になるんだ」と思う。
父は、終戦の年に生まれた。
「最近何してるの?」
と聞くと、
「何もしてない。」
と父は答えた。大丈夫なのかな、と思った。


  休みの日の、こういう何気ない、のんびりした出来事が好きだ。